「車？」
「そう、それもガソリン車」
「ガソリンなんてどこから手に入れるんだ」
「アルコールから還元するかな」
「せっかく儲けたのに、全部使い切るんじゃないか」
「まあ、いいだろう」
「なんで」
「まあいいだろう」
化石燃料を人類が燃やし尽くして久しいころ。主な燃料資源は植物起源のアルコールになっていた。人々は自転車で移動し、多くの電力は太陽光で賄われていた。 ノイツは先日ギャンブルで一儲けした男で、親友のアキに何やら相談を持ち込んでいるところ。
「やっぱり、彼女か」
「うん。奇抜なことでもしないと振り向いてもらえないだろう」
「切ないのう」
というわけで、ノイツは金に物を言わせて古いガソリン車を手に入れてきたわけだ。
「で、俺に何をせいと？」
「ようするに復元を手伝って欲しいわけだ」
「何で俺なの」
「工学部だろ」
「生命工学科だけどな」
まあ、ここで二人の苦労を語っても良いのだが、、細かい話になるのでやめておこう。
「できた」
真夜中。二人はノイツの家に作ったガレージの中でエンジンの始動に成功した。作業を始めて三ヶ月目のことである。
翌朝、大学に何やら騒がしい四輪の物体がやってきた。運転しているのはもちろんノイツである。
「ステファニー！」
彼女もさすがに振り向いた。
「僕の車（マシーン）の助手席においでよ」
B.G.M EarlyRebecca (Thanks to IF)