夏だ。 今日も空は碧く晴れ渡っている。 風は南風、木陰で昼寝をするには最高の日だ。 が、何故か自転車に乗っている。
堀之内の駅から南に坂を上る。 腕は陽射しに熱を帯び、脚は運動の熱を持つ。 有り体に言って、暑い。 生暖かい風が涼風に感じられる。 全労災のビルの所で左折する。 住宅街を走る、というか、谷筋の唐木田駅へ向けて落ちるに任せる。 必死に稼いだ位置エネルギーが浪費されてゆく。 唐木田駅から右折して尾根幹線に出た。
南野高校とか国士舘大とかを右手に見ながら前回の道をひた走る。 バイクにタンデムしているニイチャンが「あちー」と叫んで通り過ぎる。 さて、自転車とどちらが暑かろう。
前回行き止まりだった多摩大学のところの上り坂を究めると、予定通り道ができている。 若葉台の駅前も開発が進むし、多摩ニュータウンもそろそろ完成だろうか。 とにかく道はひたすら下ってゆく。 周りはゴルフ場とか公園とかばかり。 だいぶ汗もかいたので水分補給にコンビニにでも立ち寄りたいが、そんなものはない。 自分の影を見ながら髪を切ろうかとか取り留めもないことを考える。 風が髪の中を吹きぬけて行くと涼しいが、いい加減日光で熱くなっている。 右下方にちらちらと街が見え隠れ。 そして、右前方にマンションの群が出現した。 これを下ると若葉台か？ と思ったが、そのまま道なりに進む。 不意に前方に広々とした空間が立ち現れる。 遠くのビルまで見渡せる。 この感じは八王子から中央線に乗って日野駅で見る景色に似ている。 つまり丘陵の終りだ。
どう帰ろう、という問題が浮上する。 引き返すのは厳しい。 どうせ多摩川に出ることになるだろうな、と漠然と思う。 稲城駅・調布という看板を見て、道は仮設道路となる。 だらだらと、それでも道なりに下りて行くとガストが見えた。 稲城駅か。
ガストでしばし休憩。 眩しい夕日の中に出る。 ペアリーロードを通って川崎街道に出る。 真面に日を受けて西に進み、府中街道で南武線を渡る。 是政橋で多摩川の北側に出て、サイクリングロードを関戸橋まで。 桜ヶ丘から家まではいつもの道。 ちょっとコースが長すぎた。